北朝鮮、新義州にのぼる朝日 |
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朝、20階近くにある部屋のカーテンを開けると、北朝鮮、新義州に太陽がのぼるところだ。しばし、見とれていた。 手前は鴨緑江。中国との国境だ。息を飲むほどに美しい。 |
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朝食のフロアも高層階にある。窓際に腰を下ろした。やはり、北朝鮮が見える。 ブッフェ形式の朝食である。軽く、パンとコーヒーで食事をしていると、目の前に黒っぽい服装のおじさんがきた。だまって、わたしのテーブルについた。挨拶ぐらいしろよ。両手に大きな皿。その上に大量の食物を乗せている。 「どうぞ」 |
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笑顔で言う。もうひとり同じような服装の男性も黙ってテーブルについた。中国人だろうと顔を上げる。胸に赤いバッジがついている。金日成のバッジじゃないか。 「あなたは朝鮮民主主義人民共和国から来たんですか?」 鼻息荒く尋ねてしまった。 「そうだ」 二人とも大きな皿をふたつ。そば、ごはん、おかずなど山盛りにしている。朝食としては多すぎないか? 「いつ、新義州へ?」 「昨夜だよ」 「ピョンヤンに住んでいるのですか?」 |
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右は中朝友誼橋 |
ついている。太陽が昇る北朝鮮を見たら、今度は北朝鮮の人民が目の前にいる。 「新義州から列車でピョンヤンに行ったことがありますよ」 調子に乗ったわたしは、ピョンヤン観光を語りだす。 「ところで、あなたはどんな用事で中国に?」 「わたしはアーチストでな、これから上海に行く。万博を見るんだよ」 「グレート。アーチストか。どんな種類の?」 「絵を描くんだ」 「万博には何人くらい行くのですか?」 相手は、急にわたしの英語を聞き取れなくなってしまう。今までは通じていたのに。 |
「いつ、上海に?」 次第に寡黙になっていく。話したくないのだろう。それならば、なぜ、わたしのテーブルにきたのか。 「列車で行くの?」 わたしはまだ尋ね続ける。相手は黙って食事を続ける。 ← ホテルの部屋から撮った丹東の市街地。早朝なので、人は歩いていない。 |
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北朝鮮、新義州の昼 |
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鴨緑江を挟んで北朝鮮。手前が中国。 |
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朝食で北朝鮮の人に会えるのなら、ロビーに行けばもっと楽園人民がいるのかもしれない。頭を働かせる。 ソファにだらしげに腰を下ろしてタバコを吸っている人物。胸を注視する。金日成バッジが輝いている。いるいる。 「カムサハムニダ(ありがとう)」 本来はおはようと言うべきところなのだが、知っている単語はこれだけ。だから、歯をむき出して、ついでに目もむき出して、笑顔に、カムサハムニダ。 ソファの中年男性は、あっ、おうと言いつつ、わたしを見る。 「あなたはピョンヤンから?」 朝食と同じように、旅行したことがあるとか、勝手に口にする。 |
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「丹東へは仕事?」 「ビジネスだよ」 かっこいいではないか。ビジネスだなんて。北朝鮮のビジネスマンはやたらタバコを吸う。 「あなたはどうして英語を話すんだい?」 尋ねる。 「学校で習ったからね」 「どこの?」 「ピョンヤン」 エレベーターからダークスーツの中年男性がタバコに火をつけたまま出てくる。話をしていた男性は、じゃあと言うと、彼らに合流して出て行った。どうもビジネスをするようには見えない、リラックスぶりである。 |
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北朝鮮、新義州の夜 |
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北朝鮮は闇に沈んでいるというマスコミの報道が 多いが、実際はかなり電灯がついていた。 |
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中朝友誼橋。奥が北朝鮮。途中で切れている。 |
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ホテルの部屋から丹東とその先にある北朝鮮、新義州を見る。中朝友誼橋の電飾は途中で消えている。国境なのだろう。この橋を金正日将軍の特別列車は渡ったのだ。いつまでも見ていて、飽きない。 | |
素晴らしい景色を堪能できるホテルは、 |
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ホテルカードを右にスキャンしておきました。 1泊190元(2850円)はしませんでした。設備の調っていて申し分のないホテルです。 北朝鮮の景色を見られるし、北朝鮮の人民と話せるこのホテルを紹介してくれたのは瀋陽の日系旅行代理店七星桜さんです。素晴らしい旅行社です。 |
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場所は丹東駅から数本通りを入ったところです。静かな立地にあります。 | |
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