天池まで |
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白い山々が神秘的だ。 |
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天地にて |
2日目の午後10時30分にウルムチ空港に到着した。 ウルムチの夜は冷える。 タイ人たちはシャツをズボンの外に出し、その上にジャンパーを羽織っている。下着がはみ出しているようだ。これがお洒落なのだろう。 小さな空港である。やっと、ベルトコンベアーが動き始めた。 「早いな!」 ヨーロッパから来た人が近づく。スーツケースは続々と現れるが我々の荷物は出てこない。空港職員に尋ねると、今、出てきているのは、2時間前に西安から到着した便の荷物だとのこと。 「この空港で下ろす荷物と、その先に行く荷物を振り分けるのに時間がかかるんだよ。分かるよね」 それで2時間! 常識を越えた世界にやってきた。タイ人は待つことにかけては天才である。本を読みながら待つなんて、そんなふしだらなことはしない。しっかりと、本格的に待つ。目をベルトコンベヤーに据え、呼吸するのも面倒くさそうに待つ。 ツアー客のひとり、60歳を過ぎたお爺さんはスポーツ刈りにスエットスーツのままウルムチまできてしまった。彼だって、腕組みをしたまま、じっと待つ。足元には、彼のズタ袋が転がっている。彼はどこに行くにも、この袋を肩に担いでいる。 待つこと1時間30分。全員の荷物が揃う。空港からホテルまでは1時間。もう翌日である。 |
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チャーハンのようなものを売っていた。 |
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南山牧場 |
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「今日はどこへ行くの」 翌日の朝食時に、堪らなくなって尋ねる。 「そんな、日本人はシリアスなんだから」 「ガイドブックを読んでおきたいんだ」 「そんなもの、旅先で読まなくてもいいのに。リラックス、リラックス」 真面目だね。訪問地の知識を得たいんだって。同じテーブルのタイ人に笑われる。 「9時にロビーに集合よ」 「だって、もう8時半でしょ」 「大丈夫でしょ」 「食事のあと、歯を磨きたいし……」 歯を磨くんだって。食事の後に。歯を磨くのは食事の前だよ。ヘンな日本人! また、笑われる。 「それで、今日はどこへ?」 「うるさいわね、どこへでも連れていって案内してやるから。どこへ行きたいのよ」 「博物館とバザール」 「心配しなさんな」 だがタウサー客を乗せたミニバスは違う方へ行く。オアシスを抜け天山山脈に入る。道路はアスファルトだが、穴だらけである。 「こっちに博物館あるの?」 「本当に、この日本人は……」 口でアホと言う言葉を残す。 「ほら、池よ。きれいでしょ」 3時間も走った後、ツアーリーダーは胸を張る。辺り一面、乳白色の霧がかかって何も見えない。 「もう12時ですけれど、昼食は?」 「食べさせてあげるわよ。心配なしよ」 「そこに美味しそうなシシカバブを売っているからさ。食べたくなった。ウイグルに来たからには、ウイグル料理を食べさせてくれるよね」 「うふふ」 こうしてウルムチでは博物館にも、ウイグル料理も食べず、ただただショッピングと漢族の料理を堪能したのだった。 |
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ウルムチ市内 |
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ホテルの前で |
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人口100万人の大都会。西洋人のような顔つきをしたウイグル人が多い。北京と時差を設けていないので、夜9時になっても夕方のように明るい。 |
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バザ−ルにて |
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食事です。 |
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