バンコク

W杯サッカー、アジア3次予選
  日本 3 ― 0 タイ

 
 2008年6月13日


都心にあるホテルから最寄駅まで電車に乗り、その後はタクシーを捕まえれば40分でスタジアムに到着すると考えていたが、甘かったのだ。バンコクの交通事情を甘くみてはいけなかった。

スクンビット線に乗り、ラプラオで10人程度の日本人が下りた。彼らは日本チームの青いレプリカを着ている。同じ方向に行くのだな。なんとなく親近感を覚える。だが、彼らはそうでもないらしい。ワタシを一瞥すると、それぞれ勝手にタクシーを捕まえて消えてしまった。

やっとタクシーを捕まえる。日本人カップルに競技場まで一緒に行かないかと誘われた。まだ30歳台前半の二人は、カオサンのゲストハウスに宿泊しているのだと言う。
「まだ切符を買っていないのですが、あるでしょうねえ」
「さっき、シーロムで切符があると手書きの看板があったよ。1100バーツだって」 二人はだまりこくってしまった。100バーツくらいで買いたいのだろう。

しばらく進むと、タクシーは渋滞の中に入ってしまった。動かないまま、メーターが上がっていく。50バーツ、60バーツ。
「競技場までここから何キロ位?」
 運転手に尋ねる。
「1キロないよ」
 神経質そうに答える。渋滞の中で、タクシーを下りられることを恐れたのか?
 メーターは上がる。70バーツ。80バーツ。若いカップルの悲鳴が漏れる。タクシーで80バーツも。贅沢のしすぎで反省しているのか?
「歩きます?」
「タクシーは動かないもの」
 3人は下車したのだった。車の群れを避け、やっと歩道にたどりつく。
「あそこに競技場の屋根が見えますよ」
 若者は歩き始めた。
  太陽が後頭部を突き刺す。そこが薄くなっているのだから仕方がないと思うのだが、痛いほど暑いのだ。それにビロードのような空気。
「すみません」
 オートバイに手をあげる。
「競技場まで乗せていってください」
「いいよ」
 中年の男性はワタシを乗せて、車の間を縫い進み始めた。風が心地よい。
「頑張ってねー、歩いてぇー」
 先ほどのカップルが歩いている。手を振り、オートバイの上から声をかける。

だが、苦難は終わらなかったのだった。
オートバイは競技場を外れてずんずん行く。とうとう見えなくなってしまった。
「ここはランカムへ―ン大学だよ」
「ヘーン」
 バイクを止めた男はワタシに振りかえって説明する。
「ここを卒業したのさ」
「ヘーン」
「〇〇学部だ。学位を持っている」
「スゴーイ。ここは優秀な大学だよ」
「そうなんだよ。ところでどこにいくんだっけ」




競技場、楽しそうに踊っている。
 



代表チーム、試合に先立ちコンラッド・ホテルを出発




追っかけは、たったの3人の女性。

パトカーに先導される。

別のホテルに貼ってあった
報道陣用の案内



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