シリグリ空港に到着 |
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空港の駐車場にて |
ヒマラヤ山中のシッキム王国。 1957年にインドに併合され、現在はアメリカ人の女王とその王女が住んでいる。国王、王子たちは事故で不思議な死に方をしている。 現在は、時々新聞をとおして消息が伝えられるだけだ。アメリカ人の女王も一時アメリカに帰国していたが、今はシッキムの首都ガントクにある王宮に住んでいる。 |
空港にて |
「地球の歩き方」でチェックすると、シッキムに入るには「入域証」が必要らしい。根が慎重なワタシはインド大使館に確認の電話を入れた。 「シッキムは我が国の一部です。だからあなたはインドのビザを取得すればいいのです。シッキムのパーミットなどは必要ありません」 インド訛りの英語でまくし立てられた。 「いや日本のガイドブックには必要だと書いてあるんです」 「シッキムは我が国の一部なんですよ。それなのになぜそんな書類が必要なんですか」 怒り始めた。 |
シリグリ市内 |
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空港でガイドと落ち合った。 「パーミットを取得してきましたよね?」 「いや、必要ないそうじゃありませんか」 「必要です。シッキム政府の出張所に行って,取得しましょう」 午後5時。カルカッタより幾分涼しいが、アスファルトの溶けた臭い、黒煙、クラクションは健在だ。 日曜日の夕方、シッキムの出張所は閉じられている。構内では田舎の乗り合いバスが1台。翌朝7時30分発のシッキム行きだ。1日1便の古ぼけたバス。5時間をかけて、谷をのぼる。 |
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「誰かいればいいですね」 ガイドは期待を持たせる。二人で1時間待ったが、係員は見当たらない。 「所長の家を調べました。行って発行してもらいましょう」 ガイドと小型車で15分ほど走る。門があり、小さな庭は駐車場になっている。4階建てのアパートがある。シッキム政府職員の宿舎らしい。 すでに太陽は沈み、暗くなってきた。街灯もないところだ。 |
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ホテルのガードマン、強そう。 |
「ちょっと待ってください」 アパートの階段を駆け上ったガイドは闇の中に消えてしまった。30分がすぎた。 「だめだそうです。あなたが直接頼んでみますか?」 ガイド氏がそっとドアを開ける。 裸電球の下で、30歳代後半の女性とその娘がノートを広げている。わたしは卑屈にも腰を屈め、インド大使館にいかに騙されたかを説明した。 「そんな話、わたしには関係ないでしょ」 「でもね、大使館員の言うことを信じないわけにはいかないでしょ。パーミットを出してくださいよう」 |
ダージリン行きミニトレイン時刻表 |
そう言いながら、母娘が読んでいるノートを覗き込む。青のボールペンのインクが茶色の紙に染みてべとべとしている。 「シッキムに行きたいと40年間焦がれていました。日程が詰まっていて、今日行かないと永久に訪れることができません。ぜひパーミットを発行してくださいうよぅ」 「だって、今日は日曜の夜でしょ。休息する時間ですよ」 「そこを何とか」 ついに奥の手をだした。ワタシはポケットからドル紙幣を取り出す。ガイドに合図をする。 |
電柱に張ってあったプロレスのポスター |
「やめてください」 ガイドはワタシを隅に引っ張った。 「賄賂はだめです」 ガイドはワタシを引きずって車に戻った。 翌日、昼近くになってやっとパーミットが取れたのだった。 スターTVの影響か、アルティメイテッド・ウォリアー、ドゥーインクなどのWWF人気レスラーの名を使って、インド人レスラーが興行をしている。インドにも世界チャンピオンが存在するのだ。 ← |
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