宿泊しているホテルの前に日系旅行社、APTトラベルがある。一日2回、出入りしてあれやこれや尋ねるので、日本人のお嬢さんは嫌な顔をするようになった。質問は大したことではない。ピョンヤンカフェの所在地、サッカー試合の情報などである。これらの質問のどれにも答えてくれない。嫌われたのかなと、反省するのが日本男子のよいところだ。 代わりに何かツアーに参加しよう。それでハノイ市内ツアー、半日コースに参加した。これはホーチミン廟、ホーチミンの家、文廟を回るものだ。車で日本語を話すガイド付き、19米ドルもする。 ホーチミン廟、ホーチミンの家 |
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大統領府 |
ホーチミンの家 |
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りりしい |
池の反対側から見た家 |
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ホーチミン廟へはすっと入ることができた。数日前にやってきた時と同じ長い列があったが、ガイドに言われるまま動いていると、もう、ホーチミンとご対面となってしまった。止まって遺体を見物することは許されないが、歩くことはOKだ。毛沢東の遺体は小走りにならないといけなかったが、ここは緩やかなのがいい。 |
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ホーチミンの家を見学にきた生徒 |
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ホーチミンは人気がある |
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一柱寺 |
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文廟 ここにも生徒が見学に訪れていた。はきはきした動きが凛々しく気持ちがよい。ベトナムの未来は明るい、なんてことは言わないが……。ベトナム最初の大学だそうだ。中国に比べると小ぶりである。 |
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昼食は路上レストラン 午前中で市内ツアーは終わった。ホテルの近くで昼食にした。おかずが料理されて店の前に並んでいる。それを皿によそってもらうのだ。牛肉と魚にした。3万ドン、180円だ。隣のテーブルでは、ワタシよりよい食事をしていた。その上にビールを飲んでいる。 「もう、仕事は終わったの?」 「うん」 笑いながら答えてくれた。 「ビールを飲んで、美味しいですか?」 「あんたも飲むかい?」 街の人はきさくである。 |
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粗末な昼食 |
隣のテーブルではビール |
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街なかでチェーを楽しむ ベトナムスイーツを楽しもうと、繁華街の方に行った。ベトナム楽食大図鑑という本に掲載されている店を探して歩く。どうも発見できない。その場所は空洞になっている。仕方なしに、ぶらぶらとホアンキエム湖の方に向かった。 チェーの店があった。そこでベトナムスイーツを頼み、ぼんやりと外を見ている。歩くのが億劫になってきたのだ。暑い! |
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チェーの店 |
1万ドン、60円 |
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ベトナムらしい風景 |
物売りのおばさん |
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チェーを楽しんでいると、若い女性の2人連れが入ってきた。 「その饅頭は美味しい?」 「美味しいわよ、うふふ」 これだけの会話で、ずっと話していたくなる。若い女性が話し相手になってくれるなんて、久しぶりだ。いい気になって話をする。 「食べてみない?」 「えっ、いいのかなあ」 本当は食べたい。貰ってしまった。 |
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饅頭を食べていると雨が降ってきた。 「今日、日本に帰るんです。ベトナム、大好き」 サンドウイッチを夕食にするために買いたい、というと、その店を教えてくれた。今までのベトナム人のあっち、向こう、というのではなく、2つ目の角から3軒目。右側よ。1個8000ドン(48円)。具体的な答えである。英語も癖がない。これで非常に好感を持ってしまう。最後に素敵なヒトに出会えたものだ。 |
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ホアンキエム湖あたり |
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お嬢さんたちに教えてもらった店はちゃんとあった。価格も言われた通りだ。そこでサンドウイッチを求め、夕食用とした。雨が降ってきたが、気にならない。すっきり気分がよくなって、ホテルに戻った。 空港へ 午後7時半。ホテルから空港に向かう。車をホテルにお願いしておいた。16米ドルを12米ドルに負けてもらう。 ベトナムの空港の免税ショップでは、値切り可能ということを発見した。ドンが残ったので、買い物をしたのだが、価格に少しばかり足らなかった。ここでは負けてくれたのだ。ますます、気分がよくなる。 ベトナム旅行で感じたこと ベトナム、ラオス旅行は20日間だった。ちょっときつい旅行になってしまった。ベトナムのバンメトートでは空を覆い尽くすほどの蝶が舞っていた。カントーでは水上マーケットの大きさに圧倒された。記憶にのこるところである。 「メコンのほどりで」名越健郎著にこんなくだりがある。 天国にいるホーチミン主席がある日、後継者の治世を視察するため、ハノイにたってきた。ホー主席はファン・バン・ドン首相に尋ねた。 「諸君は私の遺言をどの程度実現したかね」 ドン首相が答えた。 「あなたの遺言は3分の1達成されました」 「3分の1とはどういう意味だ」 「あなたの最も重要な遺言”独立と自由ほど尊いものはない”(There is nothing more precious than independence and freedom)の3分の1.つまり9語のうち最初の3語、There is nothingを完璧に達成したのです」 このジョークのとおり、ベトナムは何もない。笑顔も、おいしい食事も、建築物も、インフラもない。あるのは植民地時代に建築された建物、戦争で捕獲したアメリカ軍のジェット機や戦車、到る所に捨てられたゴミ、ひとの懐を狙うスリ、ひったくりとホーチミン廟だ。そして、この国を支配しているのは戦争で敗れた国の通貨、米ドルである。 貧しい国、明るさも見えないこの国である。この国の人びとの上には暗雲が立ち込めている。つまり、社会主義人民共和国を称する思想である。この思想を取り去ってしまえば、加速度的な発展がやってくるだろう。 ガイドブックの評価 「地球の歩き方、ベトナム」 大都市や人気都市、サイゴン、ホーチミン、フエ、ホイアンについては、記述が正確である。ただ、バンメトートの記述、地図は現行とはかなり異なっていた。また、レストランの紹介も好意的だと思う。どんなガイドブックを使用しても、最後は自分の責任で行動しなければならないことは、言わずもがなだ。 「ベトナム町並み観光ガイド」 サイゴン、ハノイ、フエ、ホイアンとぶらぶら歩くのに最適な本である。この本を読みながら、建築物を見ると、一層、興味がわいてくる。ただ、例示的にでも、動く順路も記載してあれば、一層分かりやすいのだが。 サイゴンの「ラマン」を撮影した高校を紹介してあるのだが、明快には記載してないため、探しあてるのに多くの時間が必要になった。 「ベトナムめし楽食大図鑑」 有名な本である。朝ごはん、昼ごはん、おやつ、晩ごはんと並べてあるのは画期的だ。しかしである。旅行に持っていくと、「今日はこの地域でお洒落なレストランはないかな?」。こんな具合に調べることが多かった。 地図が小さく、レストラン名が記載されているだけなので、いちいちページをひっくり返し、店の住所やデータを調べなければならず、使いこなせなかった。また、ベトナムのレストランは移転や閉店が激しいのか、見つけかたが悪かったのか、探し出せないことが多く疲弊した。こういった点を改善していただければ、使いやすくなるだろう。 |
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